校長News2020

校長News 2020

校長News 終業式

 令和2年3月24日(水)終業式を行いました。緊急事態宣言が解除になったとはいえ、全く予断を許さない状況であるため、今回もリモートで実施しました。
 4月から対面での行事や活動を増やしていけるといいと考えています。もちろん、感染症対策を十分施した上でのことです。通常に戻していくためにも、生徒の皆さん及び御家族の皆さんには、引き続き感染拡大防止への御協力をお願いします。

 以下は校長講話の概要です。(<続きを読む>をクリックまたはタップしてください)

 おはようございます。今年度は、緊急事態宣言に始まり、緊急事態宣言の終了とともに終わりを迎えたと言うことになります。この間、家で一人で過ごす時間が多かった人も多数いるでしょう。「おうち時間」などという言葉をあちこちで耳にします。
 残念ながら、感染拡大は今も止められておらず、この後もしばらくは、家で静かに過ごすことが求められるでしょう。

 皆さんは、その一人の時間をどう過ごしているでしょうか。
 先日、読売新聞に、地元埼玉西武ライオンズで活躍し、今はアメリカ大リーグのシアトルマリナーズでまさに辣腕を振るっている 菊池雄星 投手のインタビュー記事が掲載されていました。
 菊池選手は渡米して3年目になるのですが、メジャーリーグで強く感じたことは、活躍する選手ほど、心の切り替えが早いということです。勝っても負けても、早く切り替えて次の試合の準備をしなければ、長いタフなシーズンは乗り越えられないのです。
 心を切り替える方法は、映画を見たり、大人ですからお酒を飲んだりと、人それぞれですが、菊池選手は心の切り替えには本を読むことが一番だと言っています。その数は年間200冊から300冊になるそうです。
 アメリカは広いですから、移動に長時間かかることもあり、持って行った本を読み終わった時には、オーディオブックを聞くこともあるそうです。それくらい、菊池選手の中に本は染みついています。記事に詳しくは書いてありませんでしたが、物語に没入する、あるいは様々な空想や想像をすることで、心を野球からいったん離してリセットすることができるのだろうと容易に推測できます。

 しかし、菊池選手にとって、本は気分の切り替えだけのものではありません。
 現代は、インターネットの普及により、様々な情報があふれています。その中には、怪しい情報も含まれていますが、ネット上の短文では深く読み取ることが難しいにもかかわらず、自分が考えているようなことが書かれていると容易に信じ込んでしまう事があります。
 でも、本なら、読み返すことができ、本当かどうか、じっくり考えることができます。また、文学であるなら、感情を移入しながら、自分の生き方についてじっくり考えることができます。
 こうした作業を通して、いわゆる情報リテラシーを身につけることができると、菊池選手は考えています。
 ここから先は私の想像ですが、彼は有名人ですから、望まなくても自分への中傷やそしりを聞くことがあるでしょう。そうしたときにも、安定して対応するためのツールとしても読書を役立てているのではないかと思います。
 皆さんも、心の切り替えと、心の安定を必要とすることがあるでしょう。そうした時に読書は皆さんにとっても有効だと思います。

 更に、もう一つ、皆さんに読書を勧める大きな理由があります。皆さんは芸術を学んでいる以上、表現者であり、また、鑑賞者です。読書は、優れた表現者に必須である、表現に深みを持たせることを助けてくれるでしょうし、優れた鑑賞者になるために、情報リテラシーを生かしたクリティカルな思考と作り手の意図の的確な読み取りをする力を与えてくれるでしょう。
 今後もしばらく続くかもしれない、おうち時間。春休みのこの機会に、本を手に取ってはいかがでしょうか。

 最後に、緊急事態宣言が解除されたとはいえ、感染状況は1年前に緊急事態宣言が初めて発出されたときよりもはるかに悪い状況であることを忘れてはいけません。生徒の皆さんには、春休みにおいても・規則正しい生活習慣の徹底・手洗いの徹底と適切な換気・保湿、マスクの着用・不要不急の外出、生徒同士の会食等の自粛 など感染予防に努めてもらいたいと思います。

 では、また4月に元気に登校する皆さんを楽しみにしています。

校長News 卒業証書授与式

 新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、今年度もコンパクトな式となりましたが、卒業生、保護者の皆さんの御協力で無事に第19回卒業証書授与式を行うことができました。
 改めて、卒業生及びその御家族の皆様、御卒業おめでとうございます。卒業生の皆さんがますます活躍していくことを期待しています。
 式の終了後は、卒業生にサプライズで在校生が作成した餞の動画を流し、卒業式への参加は代表の生徒のみだった在校生全員のお祝いとお礼の気持ちを伝えることができました。

 以下は式辞です。(<続きを読む>をクリックまたはタップしてください)

 

 一雨ごとの暖かさという言葉のとおり、校内の木々に春の訪れが感じられる今日の佳き日に、第十九回卒業証書授与式を挙行できますことは、皆さん卒業生はもとより、私たち教職員にとってもこの上ない喜びです。

 只今、卒業証書を授与しました一四七名の皆さん、御卒業おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。

 新型コロナウイルスとの戦いにより、こうした式典を大人数で盛大に行うことができなくなって一年以上になります。この卒業証書授与式もこのように大変コンパクトなものとせざるをえませんでした。卒業生の皆さん及び御家族の皆様に心からお詫び申し上げます。しかしながら、三年次団をはじめとし、教職員すべてが、心を込めて皆さんの御卒業をお祝いしています。

 さて、コロナ禍という名までついたこの世界的混乱の中で、二ヶ月以上にも及ぶ臨時休校やこれまでと異なる生活様式、それに伴う活動の制限など、私たちはこれまでの考えや行動を大きく変えていく必要がありました。学び方や働き方、家族や社会との向き合い方、その他生きることに関連する諸々の事柄について真剣に考えざるをえない状況となってしまっています。皆さんも、自分自身の生き方について考えることがあったのではないでしょうか。

 では、皆さんにとって、よりよい生き方とはどのようなものでしょうか。

 現在、世界ではこの厳しいコロナ禍に加え、様々な分断が進行しています。不安定で正義と悪などの区別が曖昧な今のような状況下では、安易に安定を求める余り、単純に善悪を決めて、自分たちだけが正しく、反対する者はすべて悪だという考えに陥りやすいものです。こうした考えをすることはとても簡単で、極めて明快であるために受け入れやすい生き方とも言えます。この一年、このタイプの人が世界各国で増加していると言われています。
 しかし、こうした短絡的なポピュリズムは、誤った方向に人を導くことをすでに史実が証明しています。大切なのは、自分の考えは間違っていることもあると考えて、一方的な偏った判断は避け、バランスをとることです。
 人々がバランス感覚を持ち続ければ、多様な人々が生きやすい社会が形成され、何より自分自身が生きやすくなっていきます。 一方で、バランス感覚を重視して生きることは、筋が通っていなくて明快でなく、その場に流されているだけで安直であるといったマイナスのイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、バランスをとり続けることを意識して日々の生活をしてみてください。それは決して簡単なことではなく、安直ではない信念のある生き方であることがわかるでしょう。 皆さんは本校で芸術を学び、「美意識」を磨いてきました。「美意識」は、時代の流れや思想を上手に取り入れて、バランス感覚に富んだいわゆる「納得解」を導き出す元になるものだと言われています。 「美意識」を磨いてきた皆さんなら、意識さえすれば、他の人にとっては簡単ではないバランスある判断を継続して行うことができるはずです。そのことで皆さん一人一人が暮らしやすいよりよい社会を作り、よりよい生き方ができるものと私は確信しています。自信をもって次のステップに進んでください。

 本当は、もっと皆さんの三年間の思い出をお話ししたいと思っていたのですが、残念ながら今回はこの場で多くの時間を割くことはできません。この騒動が落ち着いたら、是非学校に遊びに来てください。みんなで思い出を語り合いましょう。

 結びに、卒業生の皆さんが、大きな翼を広げ、限りない未来に向かって、思う存分羽ばたかれることを心から願い、式辞とします。

令和3年3月13日

埼玉県立芸術総合高等学校長 西野 博

校長News 全校集会

 12月24日(木)冬休み前の全校集会を今回もリモートで行いました。例年通りの活動ができないことにストレスや不満をきっと持っていると思いますが、生徒は多くの制約の中、できる限りの力を発揮してここまで頑張ってきました。ウイルスとの戦いはあと少し続きそうですが、これまでの経験と知恵を最大限活用して残り3カ月の学校生活を充実したものにしてあげられるよう学校も頑張っていきたいと思います。
 以下は全校集会でお話しした概要です。(<続きを読む>をクリックしてください)

 おはようございます。とうとう年の瀬となってしまいました。こうしてリモートでお話しするのも何度目でしょうか。少し慣れてきてしまっています。
 生徒の皆さんにはこれまでもマスクの着用、こまめな手洗い、バスの中等の閉鎖空間で静粛にするなど感染拡大防止に協力してもらっているところですが、北半球では冬を迎え世界各国で再拡大しています。今一度、気を引き締めて感染拡大防止に努めてもらいたいと思います。

 さて、今日は皆さんが備えるべき能力の一つについてお話しします。

 先日、あるサバイバルオンラインゲームがあるイベントの年間最優秀賞を獲得したというニュースがありました。私はオンラインゲームそのものをやりませんし、あまりに長い時間を費やすものやあまりに刺激的な内容のものがあると聞き、個人的には高校生の皆さんにお勧めはしません。
 でも、私はこのニュースには興味を持ちました。そのゲームはコンプリートしても全くすっきりしないので、極端に賛否が分かれたらしいのです。皆が絶賛というわけではなかったようなのです。理由の一つは、対立する相手にはそれぞれに理解できる正義があり、プレイしているうちにどちらが正しいか判別ができず、戦うことに苦痛を感じてくるというのです。

 この報道を聞いた時、そういえばと思った事があります。

 小さい頃、父親が好きで勧善懲悪の時代劇をよく一緒に見ていました。概ねクライマックスでは、主人公が敵の家来たちをバッサバッサと切り倒していました。ストーリーとしてはすっきりしていたのですが、切られた家来やその家族はどうなってしまうのだろう、彼らにも一つの人生があるだろうに、敵役にも悪事を働かなくてはならない理由があったはずだなどと考えるとそれほどすっきりしてみることはできませんでした。

 さて、ゲームや時代劇だけではありません。この現実社会でも、それぞれの人に生活があり、正義があります。他人には他人の事情があるのです。時として他の人と真っ向から対立することだってあるでしょう。だからといって、ゲームや時代劇のようにフィジカルで戦うことは許されません。
 特に近年になり、グローバル化がどんどん進み、社会はより多様性を増しています。自分と大きく違う様々な考え、様々な生活様式、様々な感覚を持つ人が身近となり、争いなく人々が暮らすためには社会的な制度設計だけではもはや追い付かなくなっています。

 その中で、私たちはどういった能力を持ち、どう生きるべきなのでしょうか。

 今年の本校の「夏休みの読書案内」に紹介されていた本のひとつ「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」にヒントがありました。詳しい内容はぜひ、手に取って読んでください。
 著者のブレイディみかこさんは同情や共感という意味の「sympathy」(割と人はこれを求めがちですが)ではなく、私たちには「empathy」が必要だと主張しています。
 「empathy」とはやはり共感などと訳されることが多いのですが、ブレイディみかこさんは「自分と違う理念や信念を持つ人や、別にかわいそうだとは思えない立場の人々が何を考えているのだろうと想像する力」だと言っています。日本でいう「思いやり」に近いでしょうか。
 また、「sympathy」は同じ環境や境遇の中で生まれる外的要因に左右される感情ですが、「empathy」は生まれや育ちに関係なく、意識して獲得する力なのだとも言っています。

 皆さんには、今のように社会情勢が不安定な時だからこそ、こうした力を身に付けてほしいと思っています。互いの気持ちや実情を理解していくことが、社会の安定の第一歩で、皆さん自身の生きやすさにつながると思っています。

 皆さん以上に健康について不安に思っている人のこと、医療従事者の人たちのこと、感染してしまった人のこと、自分以外のいろんな人たちのこと、時間のある時に想像してみてください。

 そして、自分には何ができるのか考えてみてください。

 今日の私の話はこれで終わりです。健康と事故に留意して、いつもとは違うかもしれませんが、良いお正月を迎えてください。

校長News 12月第4週の出来事

12月22日(火)舞台芸術科の選択授業の一つ「狂言」の公開実技試験が本校総合練習場で行われました。例年であれば杉並能楽堂で実施するのですが、感染拡大防止の観点から本校での実施となりました。講師の山本東次郎先生にあたかも能楽堂であるような立派なセットと衣装をご用意いただき、生徒は緊張の中、素晴らしい演技を見せてくれました。

12月23日(水)映像芸術科卒業制作展が所沢市民文化センターミューズで行われました。作成した作品のプレゼンテーションと動画作品の上映などが行われました。本来なら、この素晴らしい作品の数々を沢山の方にご覧いただきたかったところですが、感染拡大防止の観点から保護者の方のみの限定公開となりました。

12月24日(木)音楽科1年生のソルフェージュの授業の一環として行っていたトーンチャイムのミニコンサートが中庭で行われました。あまり明るくないご時世ですがそれを吹き飛ばすような明るい音色で芸総のクリスマスイブを彩ってくれました。とても良いクリスマスプレゼントとなりました。

12月25日(金)美術科冬期講習会が27日(日)までの日程で行われました。通常の授業では十分に時間を取ることができないデッサンを集中して行うものですが、今年度は感染拡大防止の観点から時間を短縮して実施しました。時間は短かったかもしれませんが、その分より集中してモチーフに向き合えたようです。

←舞台芸術科「狂言公開実技試験」

映像芸術科「卒業制作発表会 めざめ」→

←音楽科「トーンチャイム コンサート」

美術科「冬期講習会」→

校長News 音楽科関連行事・イベントについて

今回の新型コロナウイルス感染症拡大によって大きな影響を受けた音楽科ですが、ようやく工夫しながら行事やイベントが開催できるようになりました。
10月30日(金) 小手指公民館において、本校卒業生の石丸菜菜さんが参加している所沢在住者中心のプロ金管楽器集団「ブラスアンサンブル カメリア」の公演が行われました。客席は社会的距離を保った配置にし、更に動画配信サービスも行うなどの工夫がされていました。プロの演奏家による素晴らしい演奏を堪能しました。
11月 4日(水) 合唱部のミニコンサートが開催されました。会場を中庭としたので、奏者も観客も社会的距離を十分保てます。生徒、教職員は中庭や廊下、教室の窓から鑑賞しました。3年生はこれで引退です。3年生の皆さん、これまで素敵なコーラスをありがとう!
11月 7日(土) ウェスタ川越において、音楽科演奏会が開催されました。事前申し込み、指定席、奏者からは距離を取った座席配置、間隔をあけての着席、更に観客は生徒、保護者、教職員のみという形での開催でしたが、多くの方に来場していただきました。3月に実施できなかった現2、3年生のクラスコンサート、選抜ソロによる演奏など正味4時間半を超える大演奏会でした。演奏を存分に堪能しました。

カメリア公演 合唱部ミニコンサート 音楽科演奏会

校長News 舞台芸術科関連行事について

11月6日(金) 舞台芸術科2年次の「1日着物デー」でした。コロナ禍を忘れさせてくれるような、いつも以上に華やかな校内となりました。
11月8日(日) 舞台芸術科体験入学2回目が開催されました。今回の体験はモダンダンスと日本舞踊。また、生徒の生の声もお聞かせすることができました。しかし、今回も1回の体験を通常よりも人数を制限し、午前と午後の2展開での実施としたため、参加者の皆さんにはご不便をかけましたが、その分中身の濃い体験ができたと思います。次回は12月19日(土)の予定です。

←11月6日(金)1日着物デー
 少人数制の英語の授業の様子
   
舞台芸術科体験入学の様子 左から在校生インタビュー・モダンダンス授業体験・日本舞踊授業体験

校長News コロナ禍における学校の工夫

学校再開から5カ月、未だ様々な学校行事が中止、縮減、延期を余儀なくされています。ただ淡々と学習の遅れを補填していくだけというのでは、学校生活のモチベーション維持にはつながりません。教職員、生徒が様々な知恵を出し工夫して、様々な活動を学校生活に取り入れています。これからも感染防止に配慮しながら、生徒の活動の場を広げていきたいと思っています。

10月に行われた活動の一部は<続きを読む>をご覧ください。

10月1日 2年次大ウォーキング大会
学校周辺のトトロの森を班別に分かれて散策しました。写真は第1チェックポイントの様子です。いい天気でした。
10月3日 学校説明会
人数を制限した上で午前と午後の2展開とし、更に蜜を避けるために保護者と生徒を別々の会場に分け説明を行いました。
10月2日,3日 三ヶ島山草会展示
例年は「三ヶ島山草会」の皆さんに文化祭で展示していただいている山草の盆栽を職員玄関に展示していただきました。
10月22日 生徒会選挙
演説等は事前に撮影した映像を各クラスに配信。まるで国政選挙の政見放送のようでした
10月24日 美術科体験入学
例年よりも人数を制限し、午前と午後の2展開とし、更に体験時間も短縮して行いました。
10月26日 美術科文化祭アーチ模型講評会
例年1年生が制作する文化祭アーチですが、今年度は動画祭となったため制作はできませんでした。8つの班に分かれ、1/5模型を制作しました。どれも素晴らしい出来栄えでした。

校長News 前期終業式

9月30日(水)夏休み前の全校集会に続いて前期終業式もリモートで行いました。少しずつ日常が戻ってきているようですが、まだまだコロナ以前のようにはいきません。後期も気を引き締めて感染防止対策を施しながら、その上でできる限り教育活動の幅を広げられるようにしていきたいと思っています。以下は前期終業式でお話しした内容です。(続きを読むをクリック)

 皆さん、おはようございます。
 例年より2カ月ほど短い前期が今日で終わりです。この間、様々な行事が中止や延期となり、少し物足りないと思っている生徒の皆さんも多いことでしょう。ただ、少しずつですが、十分感染対策をした上で発表会等が行われるようになってきました。まだ、コロナ以前のようにはいきませんが、そうした場を大切にして力を発揮してもらえると嬉しく思います。

 さて、今日は私の好きなテレビ番組の一つ「チコちゃんに叱られる!」で2週間ほど前に出題された「なぜ数学を勉強する?」についてお話ししたいと思います。先に番組の結論をお話しするとチコちゃんの答えは「論理的な思考が身につくから」でした。
 これに対し、数学の論理と日常の論理は違うという異論を唱える数学関係者がいたようです。番組の中では、料理は因数分解で成り立っているのだなどの紹介もありましたが、確かに遠い昔に恐らく因数分解を学んでいなかった人たちも、手際よく料理をしていたはずです。

 ここで、異論を唱える人の裏付けのために、少し退屈かもしれませんが数学教育の歴史に触れたいと思います。
 第二次世界大戦後、東西冷戦の時代がありました。米ソ両国は陸海空に関わる開発に続いて、1940年代末から宇宙開発競争に熱を上げていきました。そうした中、1952年に人類で初めてソビエト連邦が人工衛星の打ち上げに成功しました。「スプートニク1号」です。これまで、様々な開発競争でソビエトを上回っていると信じていたアメリカの人々は大変な混乱に陥りました。これを「スプートニクショック」と言います。アメリカはなぜソビエトに及ばなかったのかすぐに検証を始めました。その結果、次世代の技術者の育成には抽象的な数学的構造を早い年齢から導入してアメリカ人の数学能力を向上させる必要があると結論付けました。また、教育心理学者ブルーナーの「どの教科でも、知的性格をそのままに保って発達のどの段階の子どもにも教えることができる」という理論の後押しを受け、教育の現代化が進み、今、皆さんが勉強しているような抽象的な概念を多く含む数学の元が作られました。日本もそれに追随し、徐々に数学を学ぶ時間が増え、内容も変わっていき、ついに1970年の学習指導要領改訂で最も学習量の多い数学の教科書が作成されました。「詰め込み教育」といわれたころです。残念ながら、私の世代は小中高とこの分厚い教科書を勉強させられました。

 さて、話を元に戻しましょう。なぜ数学を勉強するのか。技術者育成というだけではありません。ある、有名予備校の数学講師がこう言っていました。「通常、数学をそのまま使わない人は多いが、社会の様々なところで使われている。若い人たちは将来どのような方向に進むか分からないから数学を学ぶ」
 数学は科学技術に限らず様々な活用がされています。これは他の教科も同様です。
 私は芸術の道に進むから数学はいらない。本当でしょうか。芸術の中にも多くの数学が使われています。皆さんがどこで使うか分かりません。数学に限らず、一般教科の中にはすぐに役立たないことがあるかもしれません。すぐに役立たないことを学ぶのは大人でも辛いものです。でも、すぐに役立つものはすぐに役に立たなくなるのが世の常です。
 今は無駄かもしれないと思っているようなことも、しっかり学んで皆さんの将来の価値を高めてほしいと思っています。人生に無駄なものはありません。
 後期も皆さんがしっかり勉強して、益々活躍することを期待しています。

校長News 成果発表会少しずつ

各学科、部活動の成果発表が感染防止対策を施しながら少しずつ行われるようになってきました。様々な制限の中、短い期間に集中して努力してきた成果を多くの制限を設けながらですが、実施できるようになりました。まだご覧いただけるのは在校生徒や本校教員、保護者のみというものも多いのですが、これまでの知見を活かして少しでも多くの方に見ていただけるようになっていくことを期待しています。

 
9月14日 舞台芸術科19期生民族舞踊 9月19日~20日 オンライン動画祭 9月22日 吹奏楽部アンサンブルコンサート
   
 9月27日 演劇部西部地区秋季演劇祭 9月28日 舞台芸術科20期生総合演習   
   

校長News 体験入学・学科説明会等

新型コロナウイルス感染拡大に伴い実施を見送っていた各学科の体験入学や説明会を8月後半から開始しました。感染防止対策として人数制限や時間の短縮、内容の変更などを行いながらも、本校を希望する生徒の皆さんに納得できる内容の提供に努めています。人数制限で参加できなかった生徒の皆さんのために様々な対応を検討していますので、こまめなホームページの確認をお願いします。

8月23日 映像芸術科説明会 8月29日 美術科体験入学
8月29日 舞台芸術科体験入学 9月5日 音楽科体験入学

校長News 全国高総文 埼玉県代表作品展

 今年度はオンライン開催となった全国高等学校総合文化祭「2020こうち総文」に出展した美術、書道、写真の埼玉県代表作品展に行ってきました。県内選りすぐりの作品をゆっくりと鑑賞できました。十分に広いスペースに展示しており、感染症防止の観点からも安心して鑑賞できます。
 さいたま市にあるプラザノースギャラリーで、23日(日)午後3時までの開催です。

ギャラリー入り口 本校からの出展作品
 
会場の様子  

校長News 全校集会

7月31日(金)全校集会をリモートで行いました。半年前には想像すらしなかったことです。私たちは急速な変化を求められています。しかし、こうした時にも変わってはいけないこともあります。この夏休みは生徒の皆さんに様々なことを考える時間をとってもらいたいと思います。そして、8月25日に更に一回り成長した姿を見せてくれることを楽しみにしています。以下は全校集会でお話しした内容です。(続きを読む をクリック)

 皆さんおはようございます。
 全校集会もリモートでの実施となりました。人類が新型コロナウイルス感染症と折り合いをつけて上手くやっていけるようになるには、まだしばらく時間がかかりそうです。したがって、生徒の皆さんには、人がいるところではマスクをする、手洗いの励行、大人数での会食をしない、大声での会話をしない、3密を避けるなど引き続き感染症拡大防止を努めてください。よろしくお願いします。
 また、梅雨前線が長期にわたり日本列島にとどまった影響もあり、九州や東北のほか各地で豪雨災害に見舞われました。埼玉県は比較的災害の少ない県だと言われていますが、皆さんの住む場所、学校のある場所、通学経路にどのような災害の危険があるのか、今一度確認をしてください。

 さて、昨年度のこうした集会等のあいさつで、皆さんに主に2つのことを伝えてきました。1つは今、そしてこれからの時代は芸術的な思考やセンスというものがより一層必要とされるということ。2つ目は、そうしたことも踏まえ、皆さんは自分に自信を持ち、自分自身の価値を高めることが大切だということです。

 今日は、2つ目に関連したお話しをします。
 皆さんはTPOという言葉を知っているでしょうか。タイム、プレイス、オケイジョン。時間、場所、場合。それぞれに応じた服装の使い分けという意味の和製英語です。この言葉は1960年代「メンズファッションの神様」と言われた石津健介さんが発案した言葉です。メンズジャケットで有名なVANの創始者です。「アイビールック」というファッションが若者の世界を席巻したことがあったのですが、これは石津さんがアメリカから日本に取り入れたファッションです。石津さんはアメリカナイズされた自由な発想でファッション業界を長期にわたりリードした一方で、TPOに応じた振る舞いの大切さを主張してきました。

 芸術を学んでいる皆さんは、そのこと自体に価値を持っているのですが、どんなに皆さんの才能が素晴らしくとも、TPOをわきまえない服装や態度、発言があるだけで、その価値は半減してしまいます。学校再開以降、制服の着こなしや登下校の態度などについて担任の先生から何度となく話があったかと思います。皆さん自身の価値を維持するために、是非、そうしたところもしっかりしてほしいと思っています。皆さん一人一人が持つ才能は本当が素晴らしいので、その価値を落とさぬようにしてもらいたいという思いからお話ししました。

 さて、今年は例年よりも短い夏休みとなってしまいましたが、それでも気持ちが緩み、羽を伸ばしたくなると思います。でも、TPOをわきまえた芸術総合高校の生徒らしい夏休みを送ってください。

校長News 映像芸術科19期生校内発表会

7月30日(木)映像芸術科19期生(3年次生)の今年度制作した作品の校内発表会が行われました。短い制作期間でしたが、工夫された良い作品がそろいました。今回は観覧者による密を避けるため、web会議サービスZoomを利用したライブ配信も行いました。

校内発表会の様子

校長News 2年次集会

7月30日(木)2年次集会で今年度の修学旅行の中止を生徒の皆さんに伝えました。校内で数カ月にわたって様々な検討を重ねましたが、どのような方策を施しても生徒の皆さんの安全を十分には確保できないとの結論に達し、断腸の思いですが、中止の決断をしました。生徒の皆さんには本当に残念な思いをさせてしまいますが、理解してほしいと思います。なお、保護者の皆様には、お子様に学校からのお便りを配布しましたので、ご覧いただきますようお願いします。

   
  2年次集会の様子  

校長News 映像芸術科19期発表会

6月30日(火)映像芸術科19期発表会を所沢市民文化センターミューズで行いました。2年次に専攻の授業で制作した作品の発表をしました。作品に加え、その制作意図のプレゼンテーションも素晴らしく、12月に予定されている卒業制作展がとても楽しみです。新型コロナウイルス感染症対策として観覧者は保護者の方のみでしたが、実りある発表会でした。

会場の様子 プレゼンテーションの様子 ソーシャルディスタンス集合写真

校長News 通常登校開始に際して

 6月22日(月)から通常登校が始まります。久し振りに生徒の皆さん全員が揃う学校が楽しみでなりません。しかし、以前にも触れましたが、これは従来の学校生活が戻ったのではなく、新しい学校生活様式の始まりで、時程のみが元に戻っただけです。生徒の皆さんは、引き続き①登校前の検温、②マスクの着用、③「3蜜」を避ける行動、④手洗いうがいの徹底等の新型コロナウイルス感染防止に努め、自分自身や家族、大切な人々を守ってください。  
 また、こうした過去に経験のない不安定で先の見えない時は、不安にさいなまれたり、攻撃的な気持ちになったりすることがあります。そんな時こそ皆さんの持つエンパシー(自分と全く違う立場の人、自分と異なる理念や信念を持つ人たちのことを想像し、理解する能力)を発揮し、お互いに手を取り合って、思いやりをもって行動してください。そうすれば、生活様式が変わっても、これまでのように穏やかで楽しい学校生活を送っていけると思います。この新しい環境にあっても、皆さんがより一層活躍することを期待しています。

校長News 授業再開

学校再開から1週間。今週からは授業の再開です。
6月8日(月)は1年次の登校日でした。1クラスが2教室に別れて担任と副担任のSHRが行われ、そのまま英語確認テストを受けました。テスト終了後、個人写真の撮影、大教室に移動してクラス全体でのLHRなどを行いました。時差登校とは言え、久し振りのほぼ1日の日程だと思います。今週はまだ2日の登校が予定されています。帰宅後は、ゆっくり休んで心身のケアをしてください。
6月9日(火)各クラスを2つに分けた分散登校が始まりました。いよいよ本格的な授業です。対面の授業の良さを感じながら、新しい生活様式に則った喜びの表現をお願いします。

6/8 1年次英語確認テスト 6/9 授業再開

校長News 着任式・始業式

 6月2日(火)に3年次生、3日(水)に2年次生の着任式及び始業式を行いました。短い時間でしたが、久し振りの学校をとても楽しんでいる様子が見受けられました。
 過去に経験のない感染防止対策をしながらの学校生活の始まりです。今まで通りに戻るまでには少し時間がかかるかもしれませんが、みんなで力を合わせて乗り切っていきましょう。

 以下は校長講話の内容です。
(続きを読む をクリック)

 

 皆さん、こんにちは。久し振りです。

 新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、皆さんには昨年度末から大変な我慢と心配、苦労をさせてしまいました。新しい年度も、2か月遅れとなり、また、こうした形の始業式となり、校長として大変心苦しく思っています。

 いよいよ学校の再開となりました。しかしこれは、従来通りの教育活動を復活させる再開ではなく、「学校の新しい生活様式」の始まりです。

 学校でもできる限りの対策はしましたが、感染拡大防止は皆さん一人一人の責任ある行動によるところが一番大きいのです。

 例えば、登校前に検温し発熱がないことを確認してから家を出る、マスクの着用やこまめな手洗い、咳エチケットに配慮するなどの他、ソーシャルディスタンスを保つ、対面での飲食をしない、大声での会話は避けるなどといったことです。

 自分は感染していて、たまたま無症状であるだけだと考えて行動するのが基本です。

 久し振りに友達と会う人も多いかと思いますが、こうした「新しい生活様式」から外れないように喜びを表現してください。

 また、今回の自粛生活で大変苦しい思いをした人も多かったと思いますが、是非この経験を前向きにとらえてほしいと思います。

 例えば、学校が休みの期間を利用して何か普段ではできないことができた人は、こんなことができたと。あるいは何もせずに過ごした人は、人生で3カ月もゆっくりできることなんてなかなかないのですから、ああゆっくりできた、力を蓄えられたなと言った具合にとらえる。

 前向きというのは時に苦しい時もありますが、今、この状況では前向きな気持ちをまず持ってもらい、一つ一つ前に進んでいきましょう。

 年度の前半で予定されていたことができなかったり、延期となったりして、とても不自由をかけたり、残念な思いをさせてしまうことがあるかと思います。まだまだ、制限の多い中での始まりですが、皆さん一人一人が意欲をもって学校生活を送り、良識ある行動をすることでこの難局を乗り切っていくことを強く期待します。
 皆で力を合わせて頑張っていきましょう。今年度もよろしくお願いします。

校長News 入学式

 新型コロナウイルス感染症拡大防止の対応のため延期していた入学式を行いました。新入生154名全員の元気な顔を見て、本当にほっとしました。
 ある程度の収束は見られるものの、予断を許さない状況であることに変わりはありません。新入生の皆さんにも新しい生活様式に則った学校生活をお願いします。身体的な距離を縮めることはしばらくの間我慢しつつ、心の距離を詰めて皆で力を合わせてこの難局を乗り越えていきましょう。
 以下は式辞です。
(続きを読む をクリック)

 

 木々の緑がより深くなり、夏の気配を感じる今日の佳き日、154名の希望に満ちた新入生の皆さんを迎えることができ、学校として誠に慶びに耐えません。 

 新入生の皆さん、入学おめでとう。

  新型コロナウイルス感染症への対応として、度重なる延長をした上、新入生の皆さんと私たち教職員だけの入学式になりました。新入生をはじめ、教室で御覧になっている御家族の皆様、本日御来校がかなわなかった方々に心からお詫び申し上げます。

 さて、今、私たち人類は未知の微生物による世界的な危機を目の当たりしています。

 こうした不安定で混沌とした状況の中でよりクオリティの高い意思決定を継続して行うためには、バランスの取れた高い美意識が必要だと言われています。芸術に関わる人たちがその慧眼により社会を適切な方向へと導く指標を提示することがよくあることでそのことがわかります。

 バランスの取れた高い美意識は、今、社会で求められている力です。皆さんはこれから4学科で学ぶ内容は異なりますが、この高い美意識を身に付けることは共通の目標です。

 ただし、技術を学んだだけでは、本当の美意識は身に付きません。その技術の背景や意味を知るためには、一般科目をしっかりと学ぶ必要があります。加えて学校行事や生徒会活動などを通した人同士の交流も重要な要素です。

  例年に比べスタートが2か月ほど遅れてしまったにもかかわらず、やるべきことはたくさんあります。しかし、芸術に近道はありません。焦らず、慌てずにじっくりと学んでください。

  本当は、もっと皆さんへの期待を語りたいところですが、残念ながら今回はこの場で多くの時間を割くことはできません。また、様々な機会でお話ししたいと思います。

  御家族の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。学校としてできる限りの教育を行い、お子様の健全なる成長を支援して参りますので、本校の教育活動について、御理解と御協力をいただきますようお願いいたします。

 結びに、新入生の皆さんの充実した高校生活と、健やかな成長を祈念し、式辞といたします。

 令和2年6月1日

 埼玉県立芸術総合高等学校長 西野 博