校長News2020

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校長News 卒業証書授与式

 新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、今年度もコンパクトな式となりましたが、卒業生、保護者の皆さんの御協力で無事に第19回卒業証書授与式を行うことができました。
 改めて、卒業生及びその御家族の皆様、御卒業おめでとうございます。卒業生の皆さんがますます活躍していくことを期待しています。
 式の終了後は、卒業生にサプライズで在校生が作成した餞の動画を流し、卒業式への参加は代表の生徒のみだった在校生全員のお祝いとお礼の気持ちを伝えることができました。

 以下は式辞です。(<続きを読む>をクリックまたはタップしてください)

 

 一雨ごとの暖かさという言葉のとおり、校内の木々に春の訪れが感じられる今日の佳き日に、第十九回卒業証書授与式を挙行できますことは、皆さん卒業生はもとより、私たち教職員にとってもこの上ない喜びです。

 只今、卒業証書を授与しました一四七名の皆さん、御卒業おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。

 新型コロナウイルスとの戦いにより、こうした式典を大人数で盛大に行うことができなくなって一年以上になります。この卒業証書授与式もこのように大変コンパクトなものとせざるをえませんでした。卒業生の皆さん及び御家族の皆様に心からお詫び申し上げます。しかしながら、三年次団をはじめとし、教職員すべてが、心を込めて皆さんの御卒業をお祝いしています。

 さて、コロナ禍という名までついたこの世界的混乱の中で、二ヶ月以上にも及ぶ臨時休校やこれまでと異なる生活様式、それに伴う活動の制限など、私たちはこれまでの考えや行動を大きく変えていく必要がありました。学び方や働き方、家族や社会との向き合い方、その他生きることに関連する諸々の事柄について真剣に考えざるをえない状況となってしまっています。皆さんも、自分自身の生き方について考えることがあったのではないでしょうか。

 では、皆さんにとって、よりよい生き方とはどのようなものでしょうか。

 現在、世界ではこの厳しいコロナ禍に加え、様々な分断が進行しています。不安定で正義と悪などの区別が曖昧な今のような状況下では、安易に安定を求める余り、単純に善悪を決めて、自分たちだけが正しく、反対する者はすべて悪だという考えに陥りやすいものです。こうした考えをすることはとても簡単で、極めて明快であるために受け入れやすい生き方とも言えます。この一年、このタイプの人が世界各国で増加していると言われています。
 しかし、こうした短絡的なポピュリズムは、誤った方向に人を導くことをすでに史実が証明しています。大切なのは、自分の考えは間違っていることもあると考えて、一方的な偏った判断は避け、バランスをとることです。
 人々がバランス感覚を持ち続ければ、多様な人々が生きやすい社会が形成され、何より自分自身が生きやすくなっていきます。 一方で、バランス感覚を重視して生きることは、筋が通っていなくて明快でなく、その場に流されているだけで安直であるといったマイナスのイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、バランスをとり続けることを意識して日々の生活をしてみてください。それは決して簡単なことではなく、安直ではない信念のある生き方であることがわかるでしょう。 皆さんは本校で芸術を学び、「美意識」を磨いてきました。「美意識」は、時代の流れや思想を上手に取り入れて、バランス感覚に富んだいわゆる「納得解」を導き出す元になるものだと言われています。 「美意識」を磨いてきた皆さんなら、意識さえすれば、他の人にとっては簡単ではないバランスある判断を継続して行うことができるはずです。そのことで皆さん一人一人が暮らしやすいよりよい社会を作り、よりよい生き方ができるものと私は確信しています。自信をもって次のステップに進んでください。

 本当は、もっと皆さんの三年間の思い出をお話ししたいと思っていたのですが、残念ながら今回はこの場で多くの時間を割くことはできません。この騒動が落ち着いたら、是非学校に遊びに来てください。みんなで思い出を語り合いましょう。

 結びに、卒業生の皆さんが、大きな翼を広げ、限りない未来に向かって、思う存分羽ばたかれることを心から願い、式辞とします。

令和3年3月13日

埼玉県立芸術総合高等学校長 西野 博