校長News2020

校長News 2020

校長News 全校集会

 12月24日(木)冬休み前の全校集会を今回もリモートで行いました。例年通りの活動ができないことにストレスや不満をきっと持っていると思いますが、生徒は多くの制約の中、できる限りの力を発揮してここまで頑張ってきました。ウイルスとの戦いはあと少し続きそうですが、これまでの経験と知恵を最大限活用して残り3カ月の学校生活を充実したものにしてあげられるよう学校も頑張っていきたいと思います。
 以下は全校集会でお話しした概要です。(<続きを読む>をクリックしてください)

 おはようございます。とうとう年の瀬となってしまいました。こうしてリモートでお話しするのも何度目でしょうか。少し慣れてきてしまっています。
 生徒の皆さんにはこれまでもマスクの着用、こまめな手洗い、バスの中等の閉鎖空間で静粛にするなど感染拡大防止に協力してもらっているところですが、北半球では冬を迎え世界各国で再拡大しています。今一度、気を引き締めて感染拡大防止に努めてもらいたいと思います。

 さて、今日は皆さんが備えるべき能力の一つについてお話しします。

 先日、あるサバイバルオンラインゲームがあるイベントの年間最優秀賞を獲得したというニュースがありました。私はオンラインゲームそのものをやりませんし、あまりに長い時間を費やすものやあまりに刺激的な内容のものがあると聞き、個人的には高校生の皆さんにお勧めはしません。
 でも、私はこのニュースには興味を持ちました。そのゲームはコンプリートしても全くすっきりしないので、極端に賛否が分かれたらしいのです。皆が絶賛というわけではなかったようなのです。理由の一つは、対立する相手にはそれぞれに理解できる正義があり、プレイしているうちにどちらが正しいか判別ができず、戦うことに苦痛を感じてくるというのです。

 この報道を聞いた時、そういえばと思った事があります。

 小さい頃、父親が好きで勧善懲悪の時代劇をよく一緒に見ていました。概ねクライマックスでは、主人公が敵の家来たちをバッサバッサと切り倒していました。ストーリーとしてはすっきりしていたのですが、切られた家来やその家族はどうなってしまうのだろう、彼らにも一つの人生があるだろうに、敵役にも悪事を働かなくてはならない理由があったはずだなどと考えるとそれほどすっきりしてみることはできませんでした。

 さて、ゲームや時代劇だけではありません。この現実社会でも、それぞれの人に生活があり、正義があります。他人には他人の事情があるのです。時として他の人と真っ向から対立することだってあるでしょう。だからといって、ゲームや時代劇のようにフィジカルで戦うことは許されません。
 特に近年になり、グローバル化がどんどん進み、社会はより多様性を増しています。自分と大きく違う様々な考え、様々な生活様式、様々な感覚を持つ人が身近となり、争いなく人々が暮らすためには社会的な制度設計だけではもはや追い付かなくなっています。

 その中で、私たちはどういった能力を持ち、どう生きるべきなのでしょうか。

 今年の本校の「夏休みの読書案内」に紹介されていた本のひとつ「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」にヒントがありました。詳しい内容はぜひ、手に取って読んでください。
 著者のブレイディみかこさんは同情や共感という意味の「sympathy」(割と人はこれを求めがちですが)ではなく、私たちには「empathy」が必要だと主張しています。
 「empathy」とはやはり共感などと訳されることが多いのですが、ブレイディみかこさんは「自分と違う理念や信念を持つ人や、別にかわいそうだとは思えない立場の人々が何を考えているのだろうと想像する力」だと言っています。日本でいう「思いやり」に近いでしょうか。
 また、「sympathy」は同じ環境や境遇の中で生まれる外的要因に左右される感情ですが、「empathy」は生まれや育ちに関係なく、意識して獲得する力なのだとも言っています。

 皆さんには、今のように社会情勢が不安定な時だからこそ、こうした力を身に付けてほしいと思っています。互いの気持ちや実情を理解していくことが、社会の安定の第一歩で、皆さん自身の生きやすさにつながると思っています。

 皆さん以上に健康について不安に思っている人のこと、医療従事者の人たちのこと、感染してしまった人のこと、自分以外のいろんな人たちのこと、時間のある時に想像してみてください。

 そして、自分には何ができるのか考えてみてください。

 今日の私の話はこれで終わりです。健康と事故に留意して、いつもとは違うかもしれませんが、良いお正月を迎えてください。