校長News2020

校長News 2020

校長News 前期終業式

9月30日(水)夏休み前の全校集会に続いて前期終業式もリモートで行いました。少しずつ日常が戻ってきているようですが、まだまだコロナ以前のようにはいきません。後期も気を引き締めて感染防止対策を施しながら、その上でできる限り教育活動の幅を広げられるようにしていきたいと思っています。以下は前期終業式でお話しした内容です。(続きを読むをクリック)

 皆さん、おはようございます。
 例年より2カ月ほど短い前期が今日で終わりです。この間、様々な行事が中止や延期となり、少し物足りないと思っている生徒の皆さんも多いことでしょう。ただ、少しずつですが、十分感染対策をした上で発表会等が行われるようになってきました。まだ、コロナ以前のようにはいきませんが、そうした場を大切にして力を発揮してもらえると嬉しく思います。

 さて、今日は私の好きなテレビ番組の一つ「チコちゃんに叱られる!」で2週間ほど前に出題された「なぜ数学を勉強する?」についてお話ししたいと思います。先に番組の結論をお話しするとチコちゃんの答えは「論理的な思考が身につくから」でした。
 これに対し、数学の論理と日常の論理は違うという異論を唱える数学関係者がいたようです。番組の中では、料理は因数分解で成り立っているのだなどの紹介もありましたが、確かに遠い昔に恐らく因数分解を学んでいなかった人たちも、手際よく料理をしていたはずです。

 ここで、異論を唱える人の裏付けのために、少し退屈かもしれませんが数学教育の歴史に触れたいと思います。
 第二次世界大戦後、東西冷戦の時代がありました。米ソ両国は陸海空に関わる開発に続いて、1940年代末から宇宙開発競争に熱を上げていきました。そうした中、1952年に人類で初めてソビエト連邦が人工衛星の打ち上げに成功しました。「スプートニク1号」です。これまで、様々な開発競争でソビエトを上回っていると信じていたアメリカの人々は大変な混乱に陥りました。これを「スプートニクショック」と言います。アメリカはなぜソビエトに及ばなかったのかすぐに検証を始めました。その結果、次世代の技術者の育成には抽象的な数学的構造を早い年齢から導入してアメリカ人の数学能力を向上させる必要があると結論付けました。また、教育心理学者ブルーナーの「どの教科でも、知的性格をそのままに保って発達のどの段階の子どもにも教えることができる」という理論の後押しを受け、教育の現代化が進み、今、皆さんが勉強しているような抽象的な概念を多く含む数学の元が作られました。日本もそれに追随し、徐々に数学を学ぶ時間が増え、内容も変わっていき、ついに1970年の学習指導要領改訂で最も学習量の多い数学の教科書が作成されました。「詰め込み教育」といわれたころです。残念ながら、私の世代は小中高とこの分厚い教科書を勉強させられました。

 さて、話を元に戻しましょう。なぜ数学を勉強するのか。技術者育成というだけではありません。ある、有名予備校の数学講師がこう言っていました。「通常、数学をそのまま使わない人は多いが、社会の様々なところで使われている。若い人たちは将来どのような方向に進むか分からないから数学を学ぶ」
 数学は科学技術に限らず様々な活用がされています。これは他の教科も同様です。
 私は芸術の道に進むから数学はいらない。本当でしょうか。芸術の中にも多くの数学が使われています。皆さんがどこで使うか分かりません。数学に限らず、一般教科の中にはすぐに役立たないことがあるかもしれません。すぐに役立たないことを学ぶのは大人でも辛いものです。でも、すぐに役立つものはすぐに役に立たなくなるのが世の常です。
 今は無駄かもしれないと思っているようなことも、しっかり学んで皆さんの将来の価値を高めてほしいと思っています。人生に無駄なものはありません。
 後期も皆さんがしっかり勉強して、益々活躍することを期待しています。